文化とは何か

 

「文化」は人類学の中でもっとも重要な概念の一つです。日常でもよく「日本文化は○○だ」とか「これがアメリカ文化だ」というフレーズを耳にします。でも、「文化」とは一体なんでしょうか。簡単に説明できますか?この記事では文化とは何かを考え、文化の特徴を見ていきましょう。crowd-2718833_1920

ある朝近所のおじいさんに会ったとします。自分がおじいさんより若ければ迷わず「おはようございます」と言ってお辞儀をするかもしれません。日本では目上の人に合った時にお辞儀をして「おはようございます」と言うことが多いでしょう。

学校に行く道でたまたま仲の良い友達に会ったとします。もしかしたらあなたは「おはよー!」と言うかもしれません。男友達同士ではよく「よっ!」とだけ挨拶することも多いでしょう。

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でもなぜ、目上の人に「おはようございます」と言うのでしょうか?なぜ「よっ!」と挨拶しないのでしょうか?これはとてもおかしな質問かもしれません。「そうしなきゃいけないからそうするんだよ!」と答える人もいるかもしれません。でも、ある人は「小さい頃に家とか学校で習ったからだよ」という人もいるかもしれません。もしかしたら、あまりに当たり前すぎて答えられないかもしれません。

「習ったからだよ」というコメントは「文化」とは何かを理解するのに重要なポイントです。

 

人間は社会の中で文化を身につける

人間は社会の中で文化を身につけます。イギリスの文化人類学者、エドワード・B・タイラー の「文化」の定義がとても簡潔なので、文化とは何かを説明する時によく引用されます。タイラーは「原始文化」の最初の章で文化は、知識や信条、芸術、道徳、法、習慣など、人間が社会の一員として学ぶものから構成されていると言っています。(1958 Tylor)

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文化は人と人の関わりの中にある。

人が集まればどこには文化がある

よく「文化」という言葉は国や民族の名前と一緒に使われることが多いでしょう。例えば、「日本文化」や「アイヌ文化」、「アメリカ文化」など。でも、見落としてはいけないことがあります。それは、どこでも人が集まる場所には文化があるということです。

あなたがが何気なく通う職場やクラスにも独特の文化があるはずです。各家族が独特な文化を持っています。

文化は無意識の中にある

文化は無意識の中にあるので、普段は考えずに文化的に「正しい」とか「普通だ」と思われていることをします。

このページの最初の質問で、目上の人には丁寧な挨拶をしなくてはいけないということをわかりながらも、なぜそうするのか答えられなかった人はかなりいいポイントをついています。

アメリカの文化人類学者、エドワード・T・ホールは「沈黙のことば」の中で文化というものはスーツのように簡単に着替えれるものではなく、無意識の中にあるものだと言っています。

さっきの挨拶の例でわかるように、普段無意識のうちに目上の人に敬語を使ったり謝る時に頭を下げたりします。多くの日本人は深く考えずに、自然と敬語を使ったり、挨拶をします。なぜなら、文化や習慣は無意識の中にあるからです。

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文化は無意識の中にある。

文化は変化する

ホールが言うように文化は簡単に変えれるものではないですが、時間がたっても文化は常に同じであることはありません。というのは、文化は時間をかけて変化するということです。

例えば、同じ日本人でも世代によって違う考え方や違う振る舞い方、違う服装があります。これは自分の親や祖父母、子どももしくは身近な年上/年下の人たちと話していると気がつくとだと思います。

時代が変われば、なにが「正しい」もしくは「間違っている」と信じられていることも変わります。あるときには結婚をして子どもを作ることが大人として重要だと信じられていて、またあるときにはキャリアを追い求める方が大事だと信じられることもあります。以前は夫が一家の大黒柱として稼ぎ、妻が家事と子どもの面倒をみることが「正しい」と信じられていました。最近では共働き家庭も増えていて、必ずしも以前のような性別に基づいた厳格な役割の分担がなくなってきているようです。

文化は常に変化をするのです。

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同じ文化の中に暮らしているつもりでも、親子では考え方に違いがあることがよくある。

 

ではなぜ、文化は変化するのでしょうか?それには沢山の理由があります。

一つの社会から別の社会へと文化が伝わる事があります。文化が互いに影響しあい、それぞれが変化します。例えば、お米は日本文化のなかで重要な存在ですが、稲作が伝わる前にはもちろんお米は日本の文化の一部ではなかったでしょう。

文化が内側からも変わります。現在の日本では以前より多くの共働き夫婦がいます。日本の経済の変化によって夫だけの収入では家庭を支えることが難しくなった事は共働きの世帯の増加の一つの要因かもしれません。(もちろん、キャリアを持つことに価値観を置く女性が増えたのも大きな理由の一つです)

環境の変化も文化を変える要因です。例えば、気候変動が北極圏に住むイヌイットの生活に大きな影響を与えています。雪の降り方や質の変化によって、狩りが難しくなることがあります。すると、店で食べ物を買うことが増えます。そのことによって伝統的な生活が難しくなります。(環境の変化だけでなく、カナダ政府によって進められた定住化政策も大きな影響の一つです)

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イヌイットの伝統的な生活は気候変動によって脅かされている面がある。

 

まとめ

文化とは考え方や価値観、習慣、アイデンティティ、信条、道徳、習慣などのセットで、人は生まれたときから死ぬときまで文化の一員として文化を身につけます。多くの場合、人は文化の要素を無意識に学び、文化や社会のメンバーとして無意識に行動します。

文化は人が集まればどこにでも存在します。

様々な理由によって文化は常に変化します。他の文化からの影響によって文化が変わり、社会の内側からも文化が変わり、また環境が変化することによって文化も変わります。

 

 


参考文献

Ford, James D. “Vulnerability of Inuit Food Systems to Food Insecurity as a Consequence of Climate Change: a Case Study from Igloolik, Nunavut.” Regional Environmental Change, vol. 9, no. 2, 2008, pp. 83–100., doi:10.1007/s10113-008-0060-x.

Hall, Edward T. The Silent Language. Anchor Books, 1990.

Tylor, Edward B. Primitive Culture. 1958.

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