用語集

便利な用語集

Anthro JPでは、読者のみなさんの理解を助けるために用語集を用意しました。定義だけでなく、例なども随時追加していく予定です。

また、参照した用語に関連した記事に飛べる機能も追加予定です。より沢山の用語を集め、より役に立つ用語集を作るのが目標です。

分からない用語などがあったら、ぜひコメント欄などで質問をください。みなさんの質問や感想がAnthro JPを作り上げます。

black and white book browse dictionary
Photo by Snapwire on Pexels.com

[あ行]

[いり]医療人類学(英: medical anthropology:医療を人類学の観点から見つめる学問。健康や病をめぐり、人がどのような経験をするか、どのような生活をするかなどを社会と文化、経済と共に分析することによって、理解する。

[いん]インターセクショナリティ(英: intersectionality:アメリカ合衆国で黒人などの有色人種のあいだの反人種差別闘争を背景に発展したフェミニズム理論。女性に対する抑圧は本人の人種や階級、セクシュアリティ、身体能力などによって様々な形をとるので、複合的に考えなくてはいけないという観点が特徴。

[えーじ]エージェンシー(英: agency:人が社会のなかで行動をする能力。人の行動は社会の構造とそのなかでの立場によって制限されるという点で、自由意志(英: free will)とは対比される。

[えす] エスノセントリズム (英: ethnocentrism 仏: ethnocentrisme) : 自民族中心主義のこと。自民族中心主義の項目も参照してください。

[えん] エンカルチュレーション または 文化化 (英: enculturation) : 生まれた頃から個人が特定の文化でどのような言動や考え方、価値観が受け入れられるかを学ぶプロセス。 社会化 (英: socialization)と同じ概念として扱われることがある。文化変容 (英: acculturation)は元々文化を持つ個人や集団がもう一つの文化の要素を学び実践すること。関連記事エンカルチュレーション(文化化)とは?

[お] 応用人類学 (英: applied anthropology) : 人類学の手法や知識を利用して、社会に変化をもたらす人類学の分野。人類学者としての高度な倫理観と実務家としての能力を問われる。

[か行]

[けい] 形質人類学 (英 physical anthropology) : 人類の身体的特徴を研究する学問。自然人類学とほぼ同義なので、自然人類学の項目も参照してください。最近では自然人類学と呼ばれることが多い。

[げん] 言語学 (英 linguistics) : 人類の言語の特徴を研究する学問。各言語の特徴も研究する。各言語が時間軸の中でどのように発展してきたかを研究する通時言語学と時間軸を無視して言語の特徴を研究する共時言語学がある。英国や日本、フランスでは独立した学問分野であることが多い。一方で、米国では人類学の下位分野であることが多い。

[こうこ] 考古学 (英 archaeology) : 科学技術を駆使し、過去の人々が残した遺物から過去の人々の暮らしや社会について考察する学問。英国や日本、フランスでは独立した学問分野であることが多い。一方で、米国では人類学の下位分野であることが多い。注意 : 考古学を恐竜などを発掘する古生物学と勘違いする人が多い。考古学では過去の人々が研究の対象。

[こうぞ]構造的暴力(英: structural violence:歴史的な背景(植民地主義、帝国主義、資本主義など)によって深く社会や経済の構造に組み込まれた暴力的で差別的な要素(人種差別、セクシズム、障がい者差別、ホモフォビアなど)が、抑圧を受けやすい立場におかれた集団のあらゆる権利を継続的に否定すること。ノルウェーの社会学者ヨハン・ガルトゥング(Johan Galtung)によって提唱された概念を、医者で医療人類学者のポール・ファーマー(Paul Farmer)が医療人類学に導入。

[ごし] 互酬性 ごしゅうせい(英: reciprocity, 仏 réciprocité): 交換の際に、品を与える義務受け取る義務返礼する義務が発生し、共同体のメンバーどうしや、共同体どうしが交換に互いに繋がる。マルセル・モース(Marcel Mauss)による『贈与論』での研究対象。

[さ行]

[さ] 参与観察 (英 participant observation) : 研究対象の文化の中で、文化の一員として暮らしながら、人々の考え方や行動パターンなどを文化に関わることを研究する方法。

[じぇ] ジェンダー(英: ジェンダー): 文化的、社会的に育まれる性。時代や文化、社会によって様々なジェンダーの形が存在してきた。生まれた時に割り当てられる性、セックスと対比される。

[しぜ] 自然人類学 (英 biological anthropology) : 生物学や遺伝学などの科学的な方法によって人類の身体的特徴を研究する学問。人類の身体的特徴の多様性や、言語や直立二足歩行などの人類特有の能力を研究する。

[じぶ] 自文化中心主義 : 自民族中心主義と同じ意味。自民族中心主義の項目を参照してください。

[じみ] 自民族中心主義 / エスノセントリズム (英: ethnocentrism 仏: ethnocentrisme) : 自文化中心主義ともいう。自分たちの文化が優れていて他の文化が劣っているという考え方。多くの人々や文化が自民族中心的な主張をしてきた。例えば、過去に欧米の人類学では非欧米の文化が劣っていると考える人類学者が多かった。

日本でも、日本以外の民族は劣っていると考える人が多くいた/いる。現在、人類学者たちは自民族中心的な考え方を避ける。自民族中心主義的な見方を抜け出し、各文化の持つ知識などに着目した人類学者たちについての記事はこちら – 「未開人」の考え方

日本のカタカナ表記の「エスノセントリズム」もよく見かける。関連する語 : 文化相対主義

[しょく] 植民地主義 (英: colonialism) : ある国や民族を様々な方法 (集団で居住や元々居た人々を迫害、殺害、人種や民族によってヒエラルキーを作り上げるなど)で支配し搾取すること。反植民地主義闘争がある一方、植民地主義のシステムの一員としての活動など、人類学と植民地主義は切っても切れない、複雑な関係にある。

[じょせ]女性性(英: femininity, femininities:社会や文化によって作り上げられた女性らしさ。女性らしさは社会や文化、時代によって様々な像が存在する。社会のなかでも、階級や民族、人種など様々なアイデンティティに特有な女性らしさが存在する。

[じんし] 人種 (英: race) : 本来一つの種であるホモ・サピエンス (羅: Homo sapiens) を肌の色でいくつかの集団に分類する概念。人種は生物学的に有用な概念ではなく、社会の中で人々が作られた社会的構築物 (英: social construct)である。関連記事人種ってなに?

[じんる] 人類学 (英: anthropology 仏: anthropologie) : 人類であることとはどういうことなのかを様々な視点から考える学問。注意 : 世界各国では、人類学全体を示す場合と、文化人類学や自然人類学のどちらかを示す場合がある。米国ではさらに言語学と考古学をも含む場合が多い。関連記事 : アメリカ人類学の4分野

[せい]政治経済(英: political economy:人類学では経済を、単なる欲求を満たすための合理的な選択として見ずに、文化や社会の様々な側面(道徳、信仰、法など)を映し出す、環境や資源にかかわる生活のことを示す。

[せく]セクシュアリティ(英: sexuality:性的能力や行動、指向をさす。

[せっ]セックス(英: sex:生まれた時に医者などによって割り当てられる。医学や生物科学によって構築されてきた背景がある。必ずしもセックスとジェンダーが一致するとは限らない。

[た行]

[だ] 男性性(英: masculinity, masculinities:社会や文化によって作り上げられた男性らしさ。男性らしさは社会や文化、時代によって様々な像が存在する。社会のなかでも、階級や民族、人種など様々なアイデンティティに特有なマスキュリニティ(男性らしさ)が存在する。

[な行]

[は行]

[ふぇ] フェミニズム(英: feminism, feminisms:女性の権利を保障するための運動や理論。世界各地で様々な背景をもつ女性が、男性中心な規範や価値観、構造の不公平さを批判し、公平さを求め行動をしてきた。

[ふら] フランツ・ボアズ (独: Franz Uri Boaz) : ドイツ生まれの人類学者で、北米先住民族の研究をし、人種主義に対抗した。ニューヨーク市に移り住み、研究を続けただけでなく、著名な人類学者の指導に当たった。アメリカ人類学の父とも言える存在で、現在米国で主流の4分野人類学 (文化人類学 形質人類学 言語人類学/言語学 考古学)を発展させた。

[ぶんか] 文化 (英: culture) : 英国の文化人類学者エドワード・B・タイラー(1832 – 1917)は未開文化 Primitive Culture (1871)の中で 「民族学では、文化もしくは文明とは知識や信仰、芸術、道徳、法律、風習など、人が社会の一員として身に付けた能力や習慣を含んだ複雑な完全体」と定義した。(Anthro JP 訳) 関連記事文化とは何か

[ぶんかか] 文化化 (英: enculturation) : エンカルチュレーションの項目を参照。

[ぶん…じ] 文化人類学 (英 cultural anthropology) : 人類のもつ文化に焦点を当て、人類の文化全般について研究することもあれば各文化に焦点を絞って研究をすることがある。文化人類学者たちは、フィールドワークをすることによって研究対象の文化の一員たちと関係を築き、研究対象の文化を彼ら彼女らの視点で理解しようとする。一方で、研究者としての客観的な思考も保つ。民族学とほぼ同義。関連記事 : 文化人類学とは? -簡単な入門-

[ぶ…そ] 文化相対主義 (英 cultural relativism) : どの文化が優れていて、どの文化が劣っているかを客観的に決める事は出来ないので、各文化それぞれの価値観や考え方を学び、各文化を理解しようという考え方。

[へい]ヘイトスピーチ(英: hate speech: 特定の人種や民族、宗教、セクシュアリティ、ジェンダーに当てはまる集団(特にマイノリティ)に対する憎悪表現で、暴力や虐殺(ジェノサイド)を煽動する。社会的に有利で支配的な立場にある人々によって不利な立場におかれている集団に対して行われる。ヘイトスピーチがヘイトクライムやジェノサイドに繋がった歴史的な例として、関東大震災時の朝鮮人虐殺やホロコーストやツチ族の虐殺(ルワンダ虐殺)などがある。

[へげ]ヘゲモニー、文化ヘゲモニー(英: cultural hegemony, 伊: egemonia culturale:アントニオ・グラムシ(Antonio Gramsci)と後世の学者のもと発展した概念。支配層が価値観や規範、信仰を利用することによって大衆を権力による支配に対して同意させるプロセス。

[へて] ヘテロノーマティヴィティ(英: heteronormativity: 異性愛規範ともいい、異性を愛することが普通だとする考え方や思い込み。

[ほ] ホモ・サピエンス (羅: Homo sapiens) : ヒト属 (羅: Homo) に属する現生人類の学名。アフリカに起源をもち、地球上の各地に広がった。私たちのこと。

[ま行]

[ま]マルクス主義(英: Marxism:カール・マルクス(Karl Marx)とその後世の者らのもとに発展した思想。マルクス主義的な階級闘争の観点は文化人類学などの社会科学に影響を与え、社会の仕組みを批判的に観察するための視点を与えた。

[み-が] 民族学 (英: ethnology 仏: ethnologie) : 世界各地の人々の文化を調査研究する学問。文化人類学とほぼ同義なので、文化人類学の項目も参照してください。フランス語圏では文化人類学の代わりによく使われる呼び名。注意 : 「民俗学」「民族学」と同じ発音だが、異なる二つの学問分野。は人々の習慣に焦点を当てた歴史学の一部。は人類学の一部。

[み-し] 民族誌 (英 ethnography) : 文化人類学者や民族学者のフィールドワーク調査の結果報告書。観察だけでなく、入念に研究対象の分析を行うことが求められる。

[や行]

[ら行]

[わ行]

[数字・記号など]


言葉の定義は文化や言語によって異なりますが、日本語名と外国語名が対応する場合は横に漢字の頭文字とその言語での呼び名を表記しました。例えば、「人類学」と英語「 anthropology」は対応する語なので言語を表す「英」と共に表記しました。

“用語集” への 1 件のフィードバック

  1. 宗教や親族関連の、人類学くらいでしかなかなか目にしない英単語の対訳一覧表などがあれば便利だと思います。(magic ,witchcraft,sorceryの訳し分けなど…)

    いいね

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。